「You Shook Me」は、レッド・ツェッペリンのデビュー作で最も“ブルース直系”の曲だ。
でも単なるブルース・カバーじゃない。
彼らはここで、伝統を踏み台にして音のスケールを変えている。
制作史の肝はここ。
- 元曲はWillie Dixon作(ブルースの定番として広く演奏されてきた)
- ツェッペリンはデビュー作『Led Zeppelin』(1969)でこれを取り上げ、濃厚に拡張
- 1968年のOlympic Studios録音期に制作され、オルガンとギターの掛け合いが“バンドの腕比べ”になった
- 後年、クレジット問題が整理され、作者名(Willie Dixon)が明確に表記される流れになる
1) ざっくり年表(迷子防止)
- 1962年:Mud Watersが「You Shook Me」を録音・発表(作者はWillie Dixon)
- 1968年:ツェッペリンがデビュー作制作期に録音(Olympic Studios)
- 1969-01(米)/ 03(英):アルバム『Led Zeppelin』発売、収録
- 後年:クレジット表記が整理され、Willie Dixonの名が定着
2) 背景:デビュー盤で“ブルースをどう扱うか”が試されていた
ツェッペリンの初期は、ブルースと切っても切れない。
ただし、彼らはブルースを“そのまま”出すつもりはなかった。
「You Shook Me」でやっているのは、
- 原曲の骨格を残しつつ
- 演奏で圧を上げ
- 音響でスケールを拡張する
つまりこれは、ブルースを“現代ロックのサイズ”に引き伸ばす実験でもある。
3) 録音・制作の流れ(制作史の核心):オルガンとギターの“殴り合い”を録音に残す
この曲の主役は、ボーカル以上に
オルガン(ジョン・ポール・ジョーンズ)とギター(ジミー・ペイジ)だ。
- オルガンが曲を引っ張る
- ギターがそれに噛みつく
- どっちも引かない
こういう“腕比べ”を、アルバム録音でそのままやってしまう。
デビュー盤でこれをやるのが異常だ。
さらに、ボーナムのドラムは派手に暴れない。
重心を下げ、歌と鍵盤の隙間を支える。
これで全体が“重く粘る”ブルースになる。
4) 音作りの肝:ステレオの遊びと、当時の“新しいブルース”
この曲は、ミックス面でも“当時の新しさ”を感じる。
- 左右に振った音像
- 空間の広さ
- 近い声と遠い楽器の距離感
ブルースは小さい箱でも成立するが、
ツェッペリンはこれを大きい空間の音楽として鳴らした。
この思想が、のちのツェッペリンの巨大さへ繋がる。
5) クレジット問題:引用と革新の境界線
初期ツェッペリン作品には、
“ブルース由来の表現”や“引用”に関して後年議論されたものが多い。
「You Shook Me」は作者が明確な曲で、
Willie Dixonの名が重要になる。
- 伝統への敬意
- 作品としての権利
- ロックがブルースを吸い込んだ時代の曖昧さ
これらが全部ここに詰まっている。
6) 音の聴きどころ(一般向け)
- オルガンのうねり:曲の背骨。これがないと成立しない
- ギターの噛みつき:ブルースを“ロック”へ引き上げる
- リズム隊の粘り:派手じゃないのに、重さが落ちない
- 空間の広さ:ブルースを巨大な音楽にしている
まとめ(この曲の本質)
「You Shook Me」は、
ブルースの巨人(Willie Dixon作品)を正面から演り倒しつつ、オルガンとギターの掛け合いと音響で“ツェッペリン流の巨大ブルース”に変えてしまったデビュー盤の重要曲だ。
そして制作史としては、
“伝統をどう借りて、どう革新するか”という
ロックの宿命が、初手から見えている。
参考リンク(検証用)
- https://en.wikipedia.org/wiki/You_Shook_Me
- https://en.wikipedia.org/wiki/Led_Zeppelin_(album)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Willie_Dixon
- https://www.ledzeppelin.com/
