「Babe I’m Gonna Leave You」は、レッド・ツェッペリンがデビュー作の時点で
“静かに始めて、突然ぶち壊す”という必殺技を完成させていた証拠だ。
制作史の肝はここ。
- もともとはフォーク由来の曲で、ツェッペリンが編曲・再構築してデビュー盤に収録
- 録音は1968年、ロンドンのOlympicで行われた『Led Zeppelin』制作期
- “静→爆発”のダイナミクスが、以後のツェッペリンの型になる
- 後年、作曲クレジットが見直され、作者としてAnne Bredonの名が追記される(伝承曲扱いの問題が整理されていく)
1) ざっくり年表(迷子防止)
- 1950年代後半〜60年代:元曲がフォークの場で広まる
- 1968年:ツェッペリンがアレンジし録音(『Led Zeppelin』制作)
- 1969-01(米)/ 03(英):アルバム『Led Zeppelin』発売、収録
- 1990年代以降:作者・クレジットに関する議論が広がる
- 2000年代:クレジット表記が整理され、Anne Bredonの名が公式に入る形へ
2) 背景:これは“カバー”じゃない。“変形”だ
ツェッペリンはブルースやフォークを吸っていた。
でもこの曲は、ただの引用じゃない。
- 原型はフォークの哀しみ
- それをツェッペリンが、ロックの“暴力”に変換する
つまり「Babe I’m Gonna Leave You」は、
伝統を借りながら、別物として成立させた曲だ。
ここで“ツェッペリン流”が完成している。
3) 録音・制作の流れ(制作史の核心):デビュー作で“静→爆発”の設計図を描いた
この曲の聴きどころは、派手なソロより、構造そのもの。
- 前半:アコースティックで息づかいが近い
- 中盤:緊張を溜める
- 後半:電気ギターで一気に叩き壊す
- そしてまた静けさに戻る
この“波”が、単なる強弱じゃなく、物語になっている。
当時のロックで、ここまで劇的にやるのは相当早い。
ツェッペリンは初手から、すでに“映画的”だった。
4) クレジット問題:伝承の影が後から追いかけてくる
この曲は長く「Traditional(伝承曲)」扱いで表記されていたが、
後年になって作者が特定され、クレジットが修正された。
ここは制作史として重要だ。
- 60年代末のロックは、フォーク/ブルースの“共有財産感覚”が強かった
- しかし時代が進むにつれ、作者の権利が明確に扱われるようになった
- 結果として、この曲も“誰の曲か”が整理されていく
つまり「Babe I’m Gonna Leave You」は、
音楽的な傑作であると同時に、
ロックが伝統をどう扱ったかという問題も背負っている。
5) 音の聴きどころ(一般向け)
- アコースティックの緊張感:小さい音が怖い。静けさが武器
- 爆発する瞬間:音量じゃなく“感情の跳ね上がり”が強い
- 戻りの静けさ:壊したあとに余韻が残る。ここが上手い
- 全体の波:一定のノリじゃない。揺れがそのまま物語
まとめ(この曲の本質)
「Babe I’m Gonna Leave You」は、
フォーク由来の曲をツェッペリンが“静→爆発”の劇に作り替え、デビュー盤の時点で彼らの必殺技を完成させた作品だ。
後年のクレジット修正まで含めて、
この曲は“伝統を吸って巨大化したロック”の象徴になった。
優しい顔で始まって、牙を剥く。
ツェッペリンは最初からそれができた。
参考リンク(検証用)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Babe_I%27m_Gonna_Leave_You
- https://en.wikipedia.org/wiki/Led_Zeppelin_(album)
- https://www.ledzeppelin.com/
