「Drive My Car」は、ビートルズが“やさしい内省”に寄っていく1965年末に、いきなりR&Bの勢いでドアを蹴破ってくる曲だ。
『Rubber Soul』の空気を象徴するのは「Norwegian Wood」みたいな曲──そう思ってる人ほど、この1曲目で面食らう。
制作史の肝はここ。
- 主要アイデアはポール、仕上げでジョンが効く(共同作業の典型) :contentReference[oaicite:0]{index=0}
- 1965-10-13のセッションで基本を一気に録り切る。しかもビートルズ史上初の“日付跨ぎ”録音(0時過ぎまで) :contentReference[oaicite:1]{index=1}
- 低音を太くして“R&Bっぽさ”を前面に。ジョージのリフとポールのベースが噛み合う :contentReference[oaicite:2]{index=2}
- UK盤『Rubber Soul』(1965-12-03発売)のオープニングに置かれ、アメリカ盤では外され別アルバムへ回る(国によって扱いが変わる曲) :contentReference[oaicite:3]{index=3}
1) ざっくり年表(迷子防止)
- 1965-10-13:EMI(アビイ・ロード)で録音。19:00開始〜翌0:15頃終了、日付跨ぎへ :contentReference[oaicite:4]{index=4}
- 1965-12-03(英):『Rubber Soul』発売、1曲目が「Drive My Car」 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
- 1966-06-15(米):米盤『Rubber Soul』からは外され、『Yesterday and Today』側へ(米国編集盤の都合) :contentReference[oaicite:6]{index=6}
2) 背景:この曲は“恋愛の役割”を逆転させて笑いながら刺してくる
ビートルズの恋愛曲って、基本は「男が追う/女が応える」になりがちだ。
ところが「Drive My Car」は、そこをひっくり返す。
表向きは軽口みたいに転がるのに、やってることは結構えげつない。
“夢見る相手”に見せかけて、実態は計算がある。
この甘さと皮肉の両立が、『Rubber Soul』の“ちょい大人”な温度に合ってる。
そして重要なのは、説教臭くしないこと。
「賢い曲」じゃなくて「面白い曲」として成立させる。ここが強い。
3) 録音・制作の流れ:深夜セッションで一気に“骨格”が固まった
1965-10-13、EMIスタジオ。
この日は『Rubber Soul』制作の序盤で、まだアルバム全体像が揃う前。
でも「Drive My Car」は、ここで一気に“音の設計”が決まる。
- セッションは19:00〜翌0:15。ビートルズ初の“0時越え”録音 :contentReference[oaicite:7]{index=7}
- ポールが曲を押し出し、ジョンが言葉のキレを足す(いつもの強い勝ちパターン) :contentReference[oaicite:8]{index=8}
- ジョージは低い位置のリフで曲を引っ張り、ポールのベースと“二枚看板”になる :contentReference[oaicite:9]{index=9}
この曲の肝は、派手な重ね録りじゃない。
基本トラックの噛み合わせで勝ってる。
4) “R&Bの匂い”が決定打:低音とリフで、当時のビートルズを更新した
「Drive My Car」は、ビートルズが当時吸っていた黒い音楽(R&B〜ソウル)の空気が、露骨に出る。
特に“低音の太さ”がそれ。
ジョージの低めのギター・リフと、ポールのベースが絡むことで、曲が前に転がる。
作者研究でも、当時ジョージが聴いていたR&B/ソウルの影響が語られることが多い :contentReference[oaicite:10]{index=10}
つまりこれ、ただのポップな開幕曲じゃない。
サウンドの方向転換宣言でもある。
5) 音の聴きどころ(一般向け)
- 低いリフの往復:ギターとベースが“会話”してる。ここが推進力
- コーラスの噛みつき方:明るいのに、ちょっと意地が悪い。そこが良い
- ドラムのノリ:派手じゃないのに、跳ね方がR&B寄りで曲が軽くならない
- オープニング配置の強さ:『Rubber Soul』の入口として、温度を一発で決めてくる :contentReference[oaicite:11]{index=11}
6) UKとUSで扱いが変わる:アルバムの“顔”なのに外される不思議
UK盤『Rubber Soul』では堂々の1曲目。
ところがUS盤では編集方針の都合で外され、別の編集盤に回される。 :contentReference[oaicite:12]{index=12}
これが何を意味するか。
- 曲の格が低いから外れたわけじゃない
- “米国盤の編集”が、作品の印象を平気で変える時代だった
だからこそ、UK盤の並びで聴くと「Drive My Car」が効く。
“このアルバムは甘いだけじゃないぞ”って最初に言い切ってる。
まとめ(この曲の本質)
「Drive My Car」は、
R&Bの推進力で突っ走りながら、恋愛の役割を反転させて皮肉も残す──その二枚刃で勝ってる。
そして制作史的には、
1965-10-13の深夜セッションで骨格を固め、UK盤『Rubber Soul』の1曲目としてアルバムの温度を決めた“開幕の一撃”だ。 :contentReference[oaicite:13]{index=13}
入口で殴ってくる曲は強い。
この曲は、その強さの見本。
参考リンク(検証用)
- The Beatles 公式(曲ページ)
https://www.thebeatles.com/drive-my-car - The Beatles 公式(Rubber Soul)
https://www.thebeatles.com/rubber-soul - Beatles Bible(曲ページ)
https://www.beatlesbible.com/songs/drive-my-car/ - Beatles Bible(1965-10-13 録音日ページ)
https://www.beatlesbible.com/1965/10/13/recording-drive-my-car/ - Wikipedia(概要)
https://en.wikipedia.org/wiki/Drive_My_Car_(song)
