「Good Times Bad Times」は、レッド・ツェッペリンの“名刺”だ。
しかも普通の名刺じゃない。初手で相手の机を割る名刺。
デビュー作『Led Zeppelin』(1969)の1曲目。
ここで彼らは宣言した。
- 重いロックをやる
- でもブルースの模倣で終わらない
- 演奏力で押し切る
制作史の肝はここ。
- デビュー・アルバム『Led Zeppelin』のオープニングとして録られた“開幕の一撃”
- 1968年末、ロンドンのOlympic Studiosで短期間に録音(アルバム自体が“スピード制作”)
- ボーナムの足技(速い連打)が当時のロックの常識を更新した
- 英国では当時シングルが切られず、米国ではシングルとして出たが、最初は大爆発ではなく“後から効く”タイプだった
1) ざっくり年表(迷子防止)
- 1968-09〜10:バンド結成〜初ライブで手応えを掴む
- 1968-10:デビュー作の録音(Olympic Studios中心)
- 1969-01-12(米):アルバム『Led Zeppelin』発売
- 1969-03-31(英):アルバム発売
- 1969(米):「Good Times Bad Times」がシングルとしても展開(地域差あり)
- 以後:ライブで“バンドの腕前を示す曲”として定着
2) 背景:これは“新バンドの自己紹介”じゃない。“新しい基準”の提示だ
デビュー盤の1曲目って、普通は説明だ。
でも「Good Times Bad Times」は説明じゃない。
- イントロからリフが完成してる
- ドラムが前に出すぎるくらい出る
- 全員が“音の圧”で押し込む
要するにこれ、
「これが俺たちだ」じゃなく
「これが新しい標準だ」と言っている。
3) 録音・制作の流れ(制作史の核心):短期間で録ったのに“完成度”が異常
『Led Zeppelin』は、当時としてはかなり短期間で録音されたと言われる。
だが「Good Times Bad Times」は、短期制作の粗さが出ない。
- バンドがすでにツアーで鍛えられていた
- リフが完成していた
- 演奏が“録音用に整える前に強い”状態だった
つまりこの曲は、
スタジオで作ったというより、
強い状態のまま録ってしまった感じがある。
4) ボーナムの足:この曲がロックの“体感速度”を変えた
この曲の最大の事件は、ドラムだ。
特にボーナムの足の連打。
当時のロックのノリは、もっと“横揺れ”が主流だった。
でもここでは、足の速い動きが曲を前へ押し出す。
- テンポは暴走してないのに速く感じる
- なのに重い
- しかもリズムが崩れない
これが「新時代感」を作った。
5) 音の聴きどころ(一般向け)
- 冒頭のリフ:短いのに勝ち確。これでアルバムの温度が決まる
- ドラムの足:速いのに重い。変な二律背反を成立させる
- ベースの動き:ただのルートじゃなく、曲を転がす
- ボーカルの押し込み:軽く歌わず、最初から圧をかける
6) 1曲目に置いた意味:この並びは戦略じゃなく宣戦布告
デビュー盤の1曲目にこれを置く。
これは、曲順の問題じゃない。
- “様子見”をしない
- “優しく導入”もしない
- 最初から最高火力
結果として、このアルバムは
「新人の作品」ではなく
事件として受け取られた。
まとめ(この曲の本質)
「Good Times Bad Times」は、
ツェッペリンがデビューの1曲目で“演奏力・リフ・ドラムの新基準”を全部提示してしまった開幕宣言だ。
この曲が鳴った時点で、
もう後戻りはない。
ロックは変わった。
そう言い切れるだけの初手だ。
参考リンク(検証用)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Good_Times_Bad_Times
- https://en.wikipedia.org/wiki/Led_Zeppelin_(album)
- https://www.ledzeppelin.com/
