「Dazed and Confused」は、レッド・ツェッペリンが“ただのブルースロック・バンド”じゃないと宣言した曲だ。
暗い。重い。しかも長い。
だがこの曲は、暗いから強いんじゃない。展開で飲み込むから強い。
制作史の肝はここ。
- デビュー作『Led Zeppelin』(1969)収録。ここで早くも“ツェッペリンの闇”が完成する
- 元曲はJake Holmesが1967年に発表。ヤードバーズ期に取り上げられ、ツェッペリンが大幅に再構築した
- ジミー・ペイジのボウイ弓(ヴァイオリン弓)奏法が、曲を現実から引き剥がす
- 後年、作者クレジットが整理され、Holmesの名が公式表記に入る(伝承じゃなく“作者がいる曲”として確定)
1) ざっくり年表(迷子防止)
- 1967:Jake Holmesが「Dazed and Confused」を発表
- 1967–1968:ヤードバーズがライブ等で取り上げ、曲が“変形”していく
- 1968年秋:ツェッペリンがデビュー作制作期に録音(Olympic Studios)
- 1969-01(米)/ 03(英):アルバム『Led Zeppelin』発売、収録
- 70年代:ライブで長尺化・怪物化。メドレーの中心になる
- 後年:クレジット表記が整理され、Jake Holmesの名が定着
2) 背景:この曲で“闇のツェッペリン”が誕生した
「Good Times Bad Times」が名刺なら、
「Dazed and Confused」は“裏の顔”だ。
- ムードが暗い
- リフが重い
- それなのに、踊れるようにうねる
当時のロックで、ここまで“陰の気配”を前面に出して成立させた曲は少ない。
ツェッペリンは初手から、未来のヘヴィ・ロックを先にやっている。
3) 録音・制作の流れ(制作史の核心):元曲を“段階的に別物”へ作り替えた
元曲(Jake Holmes版)は、もっとフォーキーで、語り口も違う。
だがツェッペリンは、
- リフを重くする
- ドラムで推進力をつける
- ボーカルを“攻め”に変える
- そして展開を増やして“劇”にする
これで曲は、作者の曲というより、
ツェッペリンの“演目”になる。
このやり方は、のちの彼らの制作姿勢(伝統を吸って巨大化)にも繋がる。
4) ボウイ弓の狂気:ここで現実が歪む
「Dazed and Confused」の象徴が、ペイジのボウイ弓奏法だ。
- ギターを弓で擦り、ノイズと持続音を作る
- 音程が溶ける
- 空間が歪む
これが曲の“中間部”を、
単なる間奏じゃなく異世界パートに変える。
スタジオ版でも異常だが、
ライブではここが伸びて、曲が怪物化する。
5) ライブでの怪物化:曲が“曲”じゃなく“セクションの集合体”になる
70年代のツェッペリンのライブで、この曲は核になる。
- リフで引きずり込む
- 即興で展開を伸ばす
- 弓で現実を壊す
- そしてリフへ帰還して叩き落とす
つまり「Dazed and Confused」は、
レッド・ツェッペリンのライブの“設計図”みたいな存在だ。
6) クレジット問題:作者がいる曲は、最後に“整理される”
この曲の制作史には、避けられない影がある。
元曲の作者はJake Holmesで、長くクレジットを巡って議論が続いた。
後年、公式表記が整理され、Holmes名義が入る流れになる。
これは単なる揉め事じゃない。
- 60年代末の“引用の曖昧さ”
- ロックが伝統を吸い込んで膨らんだ時代の宿命
- それが後から精算される流れ
「Dazed and Confused」は、
音の革命と同時に、時代の影も背負って残った曲だ。
7) 音の聴きどころ(一般向け)
- 冒頭リフ:重いのに粘る。これだけで空気が黒くなる
- ボーカルの圧:語りじゃなく“攻め”。怖さが出る
- リズム隊のうねり:重心が低いまま前へ進む
- 弓パート:現実が歪む瞬間。音楽というより儀式
- 帰還の快感:リフに戻るだけで“帰ってきた”になる
まとめ(この曲の本質)
「Dazed and Confused」は、
元曲を吸い込み、リフと展開で別物へ変形し、弓で狂わせ、ライブで怪物化していった“闇の起点”だ。
デビュー盤にこれを入れた時点で、
ツェッペリンはもう普通じゃない。
重い未来を、最初から鳴らしていた。
参考リンク(検証用)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Dazed_and_Confused
- https://en.wikipedia.org/wiki/Led_Zeppelin_(album)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Jake_Holmes
- https://www.ledzeppelin.com/
