「Black Dog」は、レッド・ツェッペリンが“ただの豪快バンド”じゃないと証明する曲だ。
この曲はノれそうでノれない。
正確に言うと、ノせてから外す。
制作史の肝はここ。
- アルバム『Led Zeppelin IV』(1971)の冒頭を飾る“罠”みたいな曲
- 基本アイデアはジョン・ポール・ジョーンズが組み立て、バンドで仕上げた
- 歌とバンドが“呼びかけ→返事”で噛み合わない構造(変拍子っぽく聴こえる)
- タイトルはスタジオに出入りしていた黒い犬(迷い犬)が由来とされる
1) ざっくり年表(迷子防止)
- 1971年初頭〜夏:『Led Zeppelin IV』制作期に録音
- 1971-11:アルバム『Led Zeppelin IV』発売、収録
- 1972-03(米):シングルとしても展開され、ラジオで強く回る
- 以後:ライブ定番化、リフ曲の代表格へ
2) 背景:これは“リフで殴る曲”じゃない。“リフで迷わせる曲”だ
普通のハードロックは、リフがリズムの地面になる。
でも「Black Dog」は逆。
- リフが地面を外す
- 歌が先に行く
- バンドが戻ってくる
このズラしが、曲を気持ち悪くしてる。
そしてその気持ち悪さが、気持ちいい。
レッド・ツェッペリンが当時持ってた自信が透けて見える。
“お前ら、迷ってもついて来い。ちゃんと着地させるから”
3) 録音・制作の流れ(制作史の核心):JPJの設計図が曲を異形にした
「Black Dog」を普通のロックから逸脱させた中心人物は、
ギタリストじゃなくジョン・ポール・ジョーンズ(JPJ)だと言われる。
彼が持ち込んだのは、
“歌と演奏の掛け合い”を軸にした構造。
- ボーカルがフレーズを叫ぶ
- バンドがリフで返す
- でも戻る場所が予想とズレる
このせいで聴き手は、最初の数回は確実に迷子になる。
そして面白いのが、
迷子になるほど、次は正解を知りたくなること。
この曲は、聴き手を訓練する。
4) タイトルの由来:犬の名前がそのまま曲名になる雑さが良い
「Black Dog」という曲名は、
当時の録音場所(Headley Grange周辺)に出入りしていた
黒い迷い犬が由来と言われる。
内容が犬の歌じゃないのに曲名が犬。
この雑さが、逆にリアルだ。
神話を作るバンドが、
こういうところだけ妙に生活感があるのが面白い。
5) 音の聴きどころ(一般向け)
- ボーカルとリフの掛け合い:この曲の本体。コール&レスポンスの変形
- “戻る場所”のズレ:気持ち悪いのにクセになる
- リフの重量感:迷わせるくせに、音は重くて説得力がある
- アルバム冒頭の配置:いきなり罠を置くセンスが異常
まとめ(この曲の本質)
「Black Dog」は、
JPJの設計図で“ノれそうでノれない罠”を作り、リフで迷わせながら最後は着地させる、IVの入口に置かれた異形のヒットだ。
豪快さだけじゃない。
レッド・ツェッペリンは“賢いバンド”でもあった。
この曲はそれを一発で見せる。
参考リンク(検証用)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Black_Dog_(Led_Zeppelin_song)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Led_Zeppelin_IV
- https://www.ledzeppelin.com/
