【制作史で読む】Ozzy Osbourne「No More Tears」──90年代に“重量”で勝ち切った復活劇。長尺構成、うねるベース、叙情ギターで“終わらせない”ことを証明した決定打

「No More Tears」は、オジーが90年代でも主役でいられると証明した曲だ。
スピードでも派手さでもない。重さと構成力で殴ってくる。

制作史の肝はここ。

  • 1991年作、同名アルバムのタイトル曲にして核
  • ベース主導のうねりから始まる異色の導入
  • 6分超の長尺を成立させる構成力(静→溜め→解放)
  • ザック・ワイルド期の叙情×重量が完成形に到達

1) ざっくり年表(迷子防止)

  • 1990–1991:アルバム制作(主にロサンゼルス周辺)
  • 1991-09-17:アルバム『No More Tears』発売
  • 1991年後半:シングル/MV展開、MTVで拡散
  • 1992:グラミー(メタル部門)受賞で評価が決定的に

2) 背景:これは“引退前夜”じゃない。“生き延びる”ための一手だ

90年代初頭、メタルは過渡期だった。
スラッシュ、オルタナ、グランジの波が押し寄せ、
80sのやり方は通用しなくなりつつある。

そこでオジーが選んだのは、

  • 若作りしない
  • 速さで競わない
  • 重さと物語性で勝つ

「No More Tears」は、その方針を最初から最後まで貫く。
タイトルは“終わり”を匂わせるが、実態は真逆。
まだ終わらせないための曲だ。


3) 録音・制作の流れ:ベースから始まる設計がすべてを決めた

この曲の最大の特徴は、ギターじゃなくベースが主役で始まること。

  • 導入はベースの反復フレーズ
  • ドラムが重心を低く保ち、緊張を溜める
  • そこにギターが“旋律”として乗ってくる

通常のメタルの勝ちパターンを外して、
構成そのものを聴かせる作りにした。

プロダクションは分厚いが、音は濁らない。
長尺でもダレないのは、
“足し算”じゃなく“配置”で音を組んでいるからだ。


4) ザック・ワイルドの役割:速弾きじゃない“歌うギター”

ザック・ワイルドというと豪快な速弾きの印象が強い。
だが「No More Tears」で一番効いているのは、叙情だ。

  • ソロは派手すぎない
  • メロディが曲の感情線を引っ張る
  • 歌の隙間に“余韻”を残す

ギターが前に出すぎないから、
オジーの声と曲の物語が保たれる。
これはバンドとして成熟した瞬間の音だ。


5) 長尺構成が成立する理由:溜めて、解放する

6分超えの曲が成立する条件はシンプル。

  • 溜めがある
  • 解放がある
  • その差が大きい

「No More Tears」は、
前半で徹底的に重心を下げ、
後半で一気に視界を開く。

だから聴き終わると、
“長かった”じゃなく“持っていかれた”になる。


6) 音の聴きどころ(一般向け)

  • 冒頭のベース:この曲の世界観を一瞬で作る
  • サビの解放感:暗さを溜めた分、抜けが強い
  • ギター・ソロの旋律:速さより感情
  • 全体の重心:最後まで低く、でも重くなりすぎない

まとめ(この曲の本質)

「No More Tears」は、
90年代という不利な時代に、オジーが“重量と構成力”で主役の座を取り戻した証明書だ。

終わりを示すタイトルで、
実際にやっているのは“更新”。

派手さを削ぎ、重さを研ぎ、
長尺でも聴かせ切る。

これができるから、
オジーは“過去の人”にならなかった。


参考リンク(検証用)

  • https://en.wikipedia.org/wiki/No_More_Tears_(song)
  • https://en.wikipedia.org/wiki/No_More_Tears
  • https://www.grammy.com/awards/34th-annual-grammy-awards
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